加湿器の電気代は方式(構造)と使い方で大きく変わります。まず方式別に「なぜ電力が要るのか」を押さえ、次に節約しても快適さを落とさない運用を紹介します。最後に月額の目安表(節約前→節約後)を載せました。
方式別の消費電力と理由
超音波式(15〜30W)
水を振動子で微粒化して送風します。加熱しないため電力は少なめですが、超音波式は水中のミネラルごと霧にして出すため、出力を上げるほど白い粉(乾いたミネラル粉)が家具に残りやすくなります。出力を上げすぎると白い粉や床濡れが増えるため、多くのご家庭では結局“弱〜中”に戻して使うケースが多く、ムダが出がちです。
気化式(5〜25W)
濡れたフィルターに風を当てて水分を気化します。主な電力はファンだけなので省エネ。ただしフィルター目詰まりや風量不足だと効率が落ちます。
スチーム式(200〜500W)
ヒーターで水を加熱して蒸気を出します。立ち上がりが速い反面、電力は大きい方式です。出力を抑える・間欠での利用が節約の鍵です。
ハイブリッド式(10〜300W)
気化+温風や弱い加熱を組み合わせます。ヒーター補助の有無で電力が大きく変わるため、モード選びとセンサー設定が重要です。
電気代を抑える運用のコツ
共通(全方式)
- 弱連続+先行運転:就寝1〜2時間前から弱で回し、深夜の強出力を回避。
- 配置と気流:壁当ての最弱風で均一化。中央寄り・胸高に置くとオーバーランが減ります。
- 目標湿度45〜50%RH:結露が出たら一段下げる。上げすぎはムダとデメリットが増えます。
- 清掃・メンテ:フィルター/トレイの汚れは効率を下げます。週1クエン酸・毎日すすぎを基本に。
超音波式での節約
- 出力は一段下げる:粒が重くなるのを防ぎ、床濡れ→停止のムダを回避。
- 設置を最適化:中央寄り・胸高で、壁や窓から離す。
気化式での節約
- フィルターを清潔に:目詰まりは風量↑=消費電力↑の要因。すすぎ+月1クエン酸。
- 静音≠省エネに注意:風量を落としすぎると到達まで長時間=総消費増のことも。弱〜中を長めに。
スチーム式での節約
- 弱固定+タイマー:夜間は弱&切タイマーでヒーター稼働時間を短縮。
- 能力を“必要十分”に:部屋が広すぎる場合は方式変更も検討(ハイブリッド/気化)。
ハイブリッド式での節約
- ヒーター補助を最小に:室温が安定したら“気化のみ”や“温風弱”へ。
- センサーの校正・掃除:誤検知でヒーターが無駄に入らないよう整備。
月額の目安(節約前→節約後)
前提:1日8時間×30日=月240時間、電力単価は31円/kWhで概算。ご家庭の単価・使用時間に置き換えてください。
| 方式 | 代表W(節約前) | 月額目安 | 代表W(節約後) | 月額目安 | 削減額/削減率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 超音波 | 20W | 約149円 | 13W | 約97円 | 約52円(約35%) |
| 気化 | 15W | 約112円 | 11W | 約82円 | 約30円(約27%) |
| スチーム | 300W | 約2,232円 | 180W | 約1,339円 | 約893円(約40%) |
| ハイブリッド | 120W | 約893円 | 78W | 約580円 | 約313円(約35%) |
※「代表W」は一般的な一例です。実際は機種・部屋条件・設定で変動します。
※ エアコンとの併用で体感温度が上がり設定温度を0.5〜1℃下げられる場合、トータルの光熱費はさらに下がることがあります。
関連:エアコン併用のコツ / サーキュレーター併用 / フィルター長持ちメンテ / クエン酸洗浄(1〜3%・30分)
よくある質問
電気代の計算式は? 自分の家の単価に置き換えたい。
電気代=消費電力(kW)× 使用時間(h)× 電力単価(円/kWh)です。表の数値は31円/kWh・1日8時間・30日で概算しています。
超音波は省エネだけど、なぜ床が濡れやすい?
粒径が大きい霧を近距離で出し続けると空気に乗り切らず落ちやすくなります。中央寄り・胸高+壁当ての微風で面拡散すると改善します。
スチーム式の電気代が気になります。やめた方がいい?
立ち上がりと衛生の強みは大きいです。弱固定+タイマー+就寝前停止で稼働時間を絞れば、快適さを保ったまま電気代を大きく抑えられます。
エアコンと一緒に使うと電気代は上がる?下がる?
湿度が上がると体感温度が上がり、暖房設定を0.5〜1℃下げられることがあります。総合では下がるケースも多いです。


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