冷蔵庫でブレーカーが落ちるときに、まずやるべき安全判断と復旧の正攻法を、家電特有の事情(突入電流・霜取りヒーター・結露→絶縁低下)まで踏み込んで整理しました。 「どのブレーカーが落ちたか」で原因の当たりを付け、延長タップをやめる→単独回路で切り分け→使用中止ラインの順に進みます。 さらに費用の目安、買い替え判断、食品の保護(“3時間ルール”)までワンページで完結します。

まず「使用中止の条件」→“食材の保護(3時間ルール)”→修理相談
- 使用中止の条件:焦げ臭・火花・コード発熱・水濡れがある/漏電ブレーカーが再投入で即落ちる→復電しないで停止。
- 食材の保護(3時間ルール):冷蔵室は扉を開けなければ約3時間は保冷性が維持されやすい。大事な食材はクーラーバッグ+保冷剤へ一時退避。
- 修理相談:使用年数や症状、連絡前チェックリストを揃えてメーカー/販売店へ。
復旧の正攻法(ブレーカー別に切り分ける)

- ① 全てOFF→主幹ON→漏電ON→子を1つずつON(どの回路で落ちるか特定)
- ② 当該回路の家電を全て抜く(壁の単独コンセントへ)
- ③ 冷蔵庫のみ単独でON(延長タップ禁止)。延長NGの理由
- ④ すぐ再落下するなら使用中止(受診ラインへ)
- ⑤ 問題なければ他家電を1つずつ戻す(同一回路の過負荷を除外)
落ちたのは? | 主な可能性 | まずやること | NG | 関連 |
---|---|---|---|---|
安全(子)ブレーカー | 同一回路の過負荷/冷蔵庫の突入電流+他家電(レンジ等) | 冷蔵庫を単独で直挿し→他家電を別回路へ。過負荷表で確認 | 延長タップ継続/タコ足 | 通風/延長NG |
漏電ブレーカー | 霜取りヒーター・配線の絶縁低下/結露/コード損傷 | 冷蔵庫のプラグを抜く→復電せず停止→点検依頼 | 濡れ手操作/再投入の連打 | 霜取りヒーター/受診ライン |
主幹ブレーカー | 家全体の過負荷/複数回路での同時大量使用 | 家電を順次オフ→回路ごとに再投入→原因回路を特定 | 一斉同時ON | 過負荷例一覧 |
冷蔵庫のリセット方法(再起動の基本)
冷蔵庫 リセット 方法/再起動 方法は、まず安全確保→ブレーカー復帰後に7〜60分の保護待機→壁の単独コンセントへ直挿し→別家電で通電テスト→プラグを奥まで確実に差し直す、の順が基本です。連続で抜き差しすると保護装置が働き、かえって起動しないことがあります。
冷蔵庫“ならでは”の原因と対処(現場で多い順)
1. 突入電流(起動時ドン!)+同一回路の他家電で子ブレーカーが落ちる
コンプレッサー起動時は瞬間的な突入電流が流れます。これに電子レンジ・炊飯器・電気ケトル等が同一回路に重なると、安全(子)ブレーカーが作動します。

- 対処:冷蔵庫は壁の単独コンセントに直挿し。同一回路の大電力家電は別回路へ。
- チェック:夜間や食事準備の時間帯だけ落ちるなら過負荷の疑い。過負荷表で見直し。
2. 霜取りヒーター周辺の漏電(結露・劣化で絶縁低下)
ノンフロスト機の霜取りヒーターや周辺配線が、結露や経年で絶縁低下→漏電ブレーカー作動の典型例。再投入で即落ちるなら使用中止。

3. コンセントのトラッキング・半挿し・接触抵抗
油汚れ+埃でトラッキング、プラグ半挿しは発熱・焼損のリスク。目視で変色・焦げがあれば即中止。

4. 延長タップ・タコ足はNG(電圧降下+発熱)
細いコードや長い延長は電圧降下や接触抵抗が増え、突入電流時に過熱・誤作動の温床。直挿し・単独回路が原則。

5. アース未接続(湿潤環境・漏電時の保護低下)
キッチンは湿潤環境。アース未接続は漏電時の保護が弱くなります。可能ならアース付きコンセントへ更新を。
6. 経年劣化(10〜15年)による基板・配線不良
製造後の年数が進むほど、内蔵リレーや基板、配線の劣化で異常電流が起きやすくなります。費用次第で買い替え寄り。
7. 設置・使用環境(放熱不足・高温多湿)
同一回路の過負荷例(何Wで落ちる?)
家庭の子ブレーカーは20A(約2,000W)が多め。冷蔵庫は常時は低消費でも、起動や霜取りタイミングで一時的に上振れします。
同時に使った家電 | 目安消費電力 | 合計 | 起こりがちな状況 | 対策 |
---|---|---|---|---|
冷蔵庫(起動時)+電子レンジ | 600〜800W+1,000〜1,400W | 1,600〜2,200W | 調理の瞬間だけ落ちる | レンジは別回路へ/時間をずらす |
冷蔵庫+炊飯器+電気ケトル | 150W前後+400〜1,000W+1,000W前後 | 1,550〜2,150W | 朝食準備タイムに落ちる | ケトルは別回路/順番使用 |
冷蔵庫+食洗機+電子レンジ | 150W前後+600〜1,200W+1,000〜1,400W | 1,750〜2,750W | 夕食後に頻発 | 食洗機を別時間帯に |

冷蔵庫は延長コードがダメな理由
- 電圧降下:細い・長い延長で起動時に電圧が下がりやすい
- 接触抵抗・発熱:古いタップや半挿しは発熱・焼損の温床
- 突入電流:コンプレッサー起動のピークと重なり遮断を招く
結論:冷蔵庫 延長コード ダメ。壁の単独コンセントに直挿しし、大電力家電は別回路へ。
やってはいけない5つ
- 再投入の連打(焦げ臭や発熱があれば復電しない)。
- 延長タップ・タコ足での継続運用。
- 濡れ手・床が濡れた状態での操作。
- 半挿し・ぐらつくコンセントの放置。
- 分解修理(ヒーターや配線交換は専門作業)。

費用の目安と買い替え判断(年数×費用)
一般に使用年数8〜10年超かつ想定修理費が新品の50%超なら買い替え寄りが目安。下表は参考レンジです(地域・在庫・機種差あり)。
作業/部位 | 参考費用 | 備考 | 関連 |
---|---|---|---|
原因調査(出張診断) | 5,000〜12,000円前後 | 時間帯・距離で増減 | 連絡前チェック |
コンセント更新(アース付へ) | 5,000〜30,000円 | 配線経路次第(要電気工事士) | アースの話 |
分電盤(漏電遮断器)交換 | 15,000円〜数万円 | 容量・回路数で変動 | 過負荷対策 |
冷蔵庫の基板/配線修理 | 17,000〜45,000円程度 | 機種差大、部品在庫依存 | 修理費の目安 |
冷媒回路・圧縮機系 | 60,000円〜10万円超 | 高額になりやすい | 買い替え判断 |

食品を守る:応急運用のコツ(“3時間ルール”)
- 扉の開閉を極力ゼロに。冷気の保持が最優先。
- 重要食品は保冷剤+クーラーバッグへ一時退避。
- 加熱が必要な食品は早めに加熱・消費。危険なら廃棄優先。
メーカー・購入店に連絡する前に(チェックリスト)
- 型番・製番(銘板の写真)
- 購入年・保証(延長保証含む)
- 症状:いつ・何をした時・どのように落ちるか(例:レンジ使用時のみ)
- ブレーカー種別:どれが落ちたか(主幹/漏電/子)
- 配線:延長タップ→直挿しへ切替済みか
- 環境:背面・上面の放熱スペース/周囲温度
- 実施済み対処:単独化/別回路試験/清掃/霜取り
項目 | 記入例 |
---|---|
型番/製番 | NR-XXX123/AB12345678 |
使用年数 | 2018年購入(7年目) |
症状 | 電子レンジ併用時に子ブレーカーが落ちる。単独だと落ちない。 |
実施済み | 直挿し・別回路で試験/放熱スペース確保 |
希望 | 安全確認と修理可否の見積もりをお願いしたい |
ここで中止 → 点検(受診ライン)
- 漏電ブレーカーが再投入で即落ちる
- 焦げ臭・火花・コード発熱がある
- 配線を直挿し・単独化しても短時間で再発する
メーカー公式(一次情報)
※待機時間や復帰方法は機種・年式で差があります。取扱説明書に従ってください。
編集ポリシー(E-E-A-T)
- 経験(Experience):家庭の通電トラブル相談と検証に基づき、一次切り分け手順を整理。
- 専門性(Expertise):突入電流・霜取りヒーター・通風/放熱など、冷蔵庫特有の論点を図解。
- 権威性(Authoritativeness):安全・費用は公式一次情報へ明示リンク。
- 信頼性(Trust):受診ラインを明記し、無理な自力修理を推奨しません。
よくある質問(FAQ)
レンジを使う時だけ落ちます。冷蔵庫が原因ですか?
漏電ブレーカーがすぐに落ちます。どうすれば?
延長コードで使っていました。原因になりますか?
夜だけ落ちます。昼は平気です。
移動・引っ越し後から落ちます。
どのブレーカーが落ちたか分かりません。
食品はどれくらい持ちますか?
冷蔵庫のエラーコードが出ました。どうすれば?
延長コードで使っても大丈夫?
冷蔵庫 延長コード ダメが基本です。延長やタコ足は電圧降下・接触抵抗・発熱を招き、起動時の突入電流と重なると遮断や焼損のリスクが高まります。壁の単独コンセントへ直挿しに切り替えましょう。
理由の解説は本記事の「延長タップ・タコ足はNG」を参照。
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